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「東北のうりかたを考える」8つの提案

セミナー「共創のテーブル」は単に講演を聴くだけではなく、立場の異なる様々な参加者がひとつのテーブルを囲み、多様な角度からの討論を交えることで、与えられた課題に対しより具体的かつ新たなアクションプランを提言し、かつ参加者全体が共有することを重視します。

今回は、7月29日に行われた第1回目のセミナー「東北のうりかたを考える」のディスカッションにて8つのテーブルから提案された「東北のうりかた」についてご報告します。 ●テーブル2 「山形ノート」
共通の問題として「山形の魅力が伝わっていない」というのが挙がりました。 
官の連携が上手くいっていない。山形のPRが上手ではないか、etc…
その解決方法としてこのテーブルで共感を得たのが、来県していただいた方に山形の「良かったところ」、「満足できなかったところ」などについてメッセージ寄せていただく「山形ノート」の提案。
「山形ノート」は官(公的機関)が作るホームページの中に開設し、来県していただいた方に書き込んでもらう。山形ノートの存在が広がっていけば、それが山形のPRにつながるのではないかという提案でした。 ●テーブル1 「東北福興〜戦いを略す(戦略)〜」
3.11に対して企業がどう変わるかという回答が求められている。その答えが東北福興。(復興の復の字が「 福 」になっている。)
一方、これまでは「幸せ感」のレベルがあまりにも物質的側面に偏り過ぎていたのではないかとの提言。
色々なものを付けて本来の価格より高く売るのがもはや付加価値ではない。
これからの価値観は「素にありて贅を知る」、「素」すなわちシンプル・質素であり、そのことによって「贅沢」を知ることではないかとのこと。
これまでの価値観を原点から見直す提言でした。 ●テーブル3 「自分達の街のアイデンティティーのマークをつくる」
自分たちの街を盛り上げていくことを考えていました。
私たちは外に認めてもらうことばかりに目が行ってしまい、自分達が盛り上がっていないのではないかというのが話題のはじまり。
それは自分達自身が自分達の街の良さに対する認識が不足しているからではないか。
そこで自分たちが街を盛り上げるために考えたのが街のアイデンティティのマークを作ること。
日常の街かどや建物、あるいはイベントの時などで人々がアイデンティティーマークを目にすることで、自然に自分も街に関わっているという感覚が生まれ、やがて外からも人が入ってくるようになる。地元の人も外の人も、マークを通してその街に対する認識を深めていくことができるのではないかと考えました。
テーブルのメンバーも何か新しいことに取り組む時にアイデンティティーマークを作ってみることに。
地域全体の取り組みをとしての情報発信に対する提案でした。 ●テーブル4 「農とデザインの商談会を開く」
山形県の主要産業である農業をどうやって発展させるのかというテーマで話合いました。
農業というと、どうしても3Kのイメージが強い。デザインとは対極の関係があるのではないかという話題で議論が展開していきました。
農業とデザインとがうまく融合した事例として「山形県産の果汁飲料が、パッケージデザインを見なおしたことで売り上げが伸びた」という話が話題に。(実際これは、芸工大がお手伝いさせていただいた案件です。)
農業を発展するためにはこれから農業とデザインのセミナー、農業とデザインの商談会などを企画してはどうかとの提案でした。
●テーブル5 「山形への憧れ」
山形に住んでいるとどうしても東京への憧れが強くなる傾向にある。
東京と比べたときに「山形を選びたい」となるための山形の魅力とは何か、東京からの視点で山形にとても住みたいと思わせる魅力とは何か、ということを抽出しました。
山形県のいいところは「時間の流れがゆったり」「人が温かい」ところ。
それを踏まえ、東京の人が山形に住みたい、絶対に山形の方が良いと言わせるような面白い企画3つを考えました。

(1)「山形秘境計画」
    山形の交通の便をものすごく悪くする。
    なかなか行けないところに行った時の達成感を与える。

(2)「山形弁標準語化計画」
    山形に住んでいる人から見て山形弁かっこいい、という空気感を作り出す。

(3)「山形県週休3日間計画」
    山形の全企業は金土日週休3日間にする。
    東京だと週5〜7日働いてとても大変ですが、山形はなんと週3日休みがあり絶対住みたくなります。

こらから10年後20年後の山形に住んでいる私達が強い意思を持っていれば、社会が変わっていけるのではないでしょうか。 ●テーブル6 「TAKE ACTION!!」
山形を売る工夫をするためには言葉にして行動に移し、姿勢やデザインが結果的に形になることを意識する、そしてデザイナーと手を組み東京や全国に売り込んでいく仕組みを作る必要であるのではないか。
また、行政とデザイナーが上手く関係を持つことも大切。
お金のために働くよりも、仕事が社会奉仕となりその結果お金が得られるような社会を目指すことはできないか。
東北の未来のために一人ひとりの意識が深まっていくことと、変えようとする意志が今必要ではないのかという、ロジカルな視点から精神論にまで至る幅広い議論が行われました。 ●テーブル7 「人口が少ない」
いま東北が抱えている問題は人口が少ないこと。
都市部との違いは色々ありますが”人口が少ないこと”が最大の問題なのではないか。
人口が少ないことによりマーケットが小さい、学生のネットワークが細いなどといった意見が。
人口が少ないという課題に対し、移住・Iターン・Uターンといった動きが活発に展開できないかを検討。
公共団体でもすでに色々な行動がなされていますが、都市部のニーズを改めてマーケティングし直し、その結果をもとに東北のブランディグをいまいちどやり直していくという提案がなされました。
●テーブル8 「Happy山形」
震災時仙台からの物資の供給が絶たれた経験から、何とか山形自身で自立してやっていけたらもっと良い山形になっていくのではのかという話をしました。
もう一つ話題となったのが人口減少の問題。
すでに県外に流出してしまった山形出身者に改めて地元の良さを知ってもらう。
さらに、地元の人たちに対しても地産地消運動などを通じてもっと山形の良さを知ってもらえれば、問題は改善するのではと考えました。 8つのテーブルがそれぞれに多様な立場の参加者が集い論議した様子が、そのまま提案に現れています。
これら各テーブルの提案は、最後にひとつずつ発表し、ファシリテーターからの講評やコメントを受けることで全体共有されることになります。

明日(8月11日)は第2回目の「共創のテーブル」、テーマは「震災前の家>反省>これからの家」。
さらに明後日(8月12日)は山形出身のデザイナー奥山清行氏をゲストに迎え、「エネルギーシフトとモビリティーデザインの新時代」について語り合います。

今度もどんなテーブルが完成するかとても楽しみです。

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